本来、党内に派閥はあってはならないが、多くの組織と同じように政治志向や地縁。血縁あるいは人脈によって形成された派閥が党の創立以来、歴然と存在し、激しい権力抗争を演じてきた。再び共産党を会社に例えれば、江沢民グループは二〇〇二年に社長(総書記)、○四年に会長(軍事委員会主席)を退いた後も、なおも常務会の過半数を占めて隠然とした力を保つ前会長派であり、現役社長である胡錦濤がその対応に苦慮してきたと考えても、大きな間違いはないだろう。二〇〇六年春、当時の最高指導部のメンバーで党政治局常務委員の一人が突然、姿を消した。党内序列六位の黄菊(一九三八年生まれ)である。金融を担当する常務副首相の重責を担うが、一月十六日、銀行監督管理委員会に出席後、党・政府のすべての重要会議や行事を欠席した。三月の全国人民代表大会(全人代)にも姿を見せなかった。
香港や台湾では、その理由として「末期の評臓癌で再起不能」とするものなど様々な情報が行きかった。実はそれが、この年に始まる上海グループの決定的な凋落の密かな前兆であった。中国では指導者の健康に関する情報は第一級の国家機密で、発表されることはまずない。しかし、飛びかう憶測を打ち消すためか、この年の三月二日、全人代と並行して開かれる政治協商会議(政協)の記者会見でスポークスマンの呉建民が。黄は「体調不良で入院治療を受け、現在回復しつつある」と明かしたのである。しかし、この発表にも疑問がつきまとった。中国では全人代など重要会議に現れ健在を示すのは、中央・地方を貫く派閥の頂点に立つ指導者にとって最も重要な活動だ。過去、看護師らに支えられて姿を見せた有力者も少なくない。黄の不在はニカ月以上にわたり、よほど病状が重いのか、あるいは他の理由によるものかをめぐって疑いが深まった。中国に特有の「政治病」という疑惑である。
黄の不在に関心が集まったのは、彼が、その存在が公然の秘密だった、胡錦濤指導部に対抗する党内勢力、江沢民前総書記が率いる「上海グループ」の核心メンバーだったからだ。黄は清華大学卒業後、上海の国有企業に配属される。一九八〇年代には上海市政府に入り、九〇年代に市長、党書記を歴任した。二〇〇二年の党十六回大会で政治局常務委員に抜擢され、翌年には不在時に首相を代行する常務副首相にまで上りつめた。上海では、九〇年代の目覚しい発展は、黄よりも一つ年上で、ライバルの徐匡迪元市長の功績という声も強い。しかし、上海市長から首相になった朱鎔基の剛直な政治姿勢を受け継いだ徐は敵も多く、中央指導部に入ることなく技術者の養成機関である中国工程院の書記に転出した。これに対し黄が副首相四人の筆頭に抜擢されたのは、上海時代から仕えた江沢民の引き立てによるのは明らかだった。
特に黄の江一族に対する面倒見の良さは有名で、江の息子たちには「黄おじさん」と慕われていたという。同じく上海市党副書記から江とともに中央政界に転じ、国家副主席に就いた曾慶紅が党や軍への工作で江を支えたのに対し、黄は江の権力基盤である上海を取り仕切って一族の利益を図った。江沢民の長男、江綿恒(一九五二年生まれ)は、現代中国の「超法規的存在」として有名だ。米国留学後、中国科学院に入り副院長を務める傍ら、多くの投資会社を経営する。会社の顧問にはブッシュ米大統領の弟も迎え、台湾プラスチックの王永慶会長の息子と上海に半導体の合弁工場を設立した。二〇〇四年、中国初の有人宇宙船「神船五号」の打ち上げでは、プロジェクトの副総指揮として中国紙のインタビューにも登場している。
次男の江綿康(一九五七年生まれ)もドイツ留学後、上海市政府に入り、都市発展情報セッター主任など開発部門の責任者を歴任した。江沢民の妻、王冶坪の一族も、上海の公安や税務当局の実権を握っている。江一族にとって上海はまさに金城湯池で、黄の地位は一族に対する利益供与と引き換えにあると言っていい。ここに上海グループという党内派閥の誕生と、その発展の秘密がある。しかし、中国最大の経済都市、上海を中心に張りめぐらされた閏閥は腐敗の温床でもある。その一端が垣間見えたのは、胡政権が発足した二〇〇三年に発覚した「上海一の富豪」、周正毅をめぐる疑惑だ。周は改革・開放で生まれた「新富人」、ニューリッチの典型である。一九六二年、上海の労働者家庭に生まれながら、留学ブームで日本に渡り、毛生え薬「101」の販売で資金を得た。上海の繁華街に妻と開いたレストランを拠点に市政府や銀行幹部の接待を重ね、築いた「関係」が株や不動産投資の成功につながる。
2015年1月13日火曜日
2014年12月10日水曜日
低賃金から抜け出せない
文章を書くのはライターさんがやりますし、必要に応じてカメラマン、イラストレーター、漫画家だとか、各分野の専門家に協力を仰ぎながら、記事を作っていくんです」彼のような編集者には、いいクリエイターを発掘して一緒に仕事をしたり、クリエイターのスケジュールを把握して、滞りなく記事を制作していくことが求められる。つまり外部とのやり取りが仕事の中心的な業務なのだ。しかし。「異動してきたばかりの頃は、もちろん外部のクリエイターとはまったく人脈のない状態。上司からは『自分で人を探してこい』つて指示を受けていたので、ネットを見てよさそうだなっていう人に声をかけたりしながら、『こんな人どうでしょう?』つて上司に提案してたんです。
そうしたら、よさそうな人は『俺が使うから』とか言って、上司が持っていっちやう。イマイチだと『なんだこいつは!ヘタクソだなあ。お前にやるよ』とか言って、私か担当になるんですよね。それもどうかと思うんですけど。私か担当になったライターさんに外注して記事を作ってもらうと、『全然ダメ。こいつにはもう頼んじやダメだ』つていうことになって、結局私の担当のライターさんがどんどんいなくなっちゃうんですよ。そんな状態なので、私の担当記事がどんどん減っていってます。他の編集者は月に100本、多い人はもっと作ってますが、私は今、月に10本~15本ぐらいしかアップできてません」求人情報サービス事業を手掛けるエン・ジャパン株式会社がサラリーマンにたいして行なった「仕事をしていて社外の人脈の必要性を感じますか?」というアンケートでは、79%が必要と回答している。
客先とのやり取りが一切ないバックオフィス系の仕事を除けば、取引先との関係が築けないと、うまく仕事を進められなくなってしまうことが分かる。彼らは決して、人と接するのが苦手だから孤立してしまっているわけではない。広告制作会社の朝倉さんのように、社内失業することで周囲との関係がうまくいかなくなってしまうこともあるし、ニュースサイト運営会社の太田さんのように「仕事に必要な人をなんとか集めたい」と積極的に外側に働きかけていても、社内失業していく過程で人脈を作れなくなったり、取り上げられてしまう状況があるのだ。
社内失業者は低賃金で苦しんでいる。そう言われても、あまりピンとこないかもしれない。「なにも仕事せずにお給料がもらえるんでしよ?それならむしろラッキーなんじやないの?ぜいたく言ってるんじやないよ」と。確かにもらえるだけマシ、という考え方もある。世の中には失業してしまったり、会社が倒産してしまって、食うや食わずの人たちがたくさんいる。社内失業者は、決してその日の食事や住むところに困っているわけではないからだ。しかし、社内失業者の不安は、今給与が低いことではない。今後上がる見込みがないまま年齢だけを重ねてしまう。その未来の暗さにあるのだ。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構がまとめた「今後の企業経営と賃金のあり方に関する調査」によると、5年前と比べて本人の年齢・勤続年数・学歴など個人の属性を重要視する「個人属性重視型」賃金タイプの企業が大幅に減り、本人の職務遂行能力を重視する「職能重視型」や、従事する職務・仕事の内容を重視する「職務重視型」などが増えているという。今は正社員として所属してさえいれば満足のいく給料をもらえるほど甘い世の中ではない。さらに、若い頃に経験を積めないことが、30代、40代以降の賃金にどう影響していくかについて、同調査は以下のように分析している。
そうしたら、よさそうな人は『俺が使うから』とか言って、上司が持っていっちやう。イマイチだと『なんだこいつは!ヘタクソだなあ。お前にやるよ』とか言って、私か担当になるんですよね。それもどうかと思うんですけど。私か担当になったライターさんに外注して記事を作ってもらうと、『全然ダメ。こいつにはもう頼んじやダメだ』つていうことになって、結局私の担当のライターさんがどんどんいなくなっちゃうんですよ。そんな状態なので、私の担当記事がどんどん減っていってます。他の編集者は月に100本、多い人はもっと作ってますが、私は今、月に10本~15本ぐらいしかアップできてません」求人情報サービス事業を手掛けるエン・ジャパン株式会社がサラリーマンにたいして行なった「仕事をしていて社外の人脈の必要性を感じますか?」というアンケートでは、79%が必要と回答している。
客先とのやり取りが一切ないバックオフィス系の仕事を除けば、取引先との関係が築けないと、うまく仕事を進められなくなってしまうことが分かる。彼らは決して、人と接するのが苦手だから孤立してしまっているわけではない。広告制作会社の朝倉さんのように、社内失業することで周囲との関係がうまくいかなくなってしまうこともあるし、ニュースサイト運営会社の太田さんのように「仕事に必要な人をなんとか集めたい」と積極的に外側に働きかけていても、社内失業していく過程で人脈を作れなくなったり、取り上げられてしまう状況があるのだ。
社内失業者は低賃金で苦しんでいる。そう言われても、あまりピンとこないかもしれない。「なにも仕事せずにお給料がもらえるんでしよ?それならむしろラッキーなんじやないの?ぜいたく言ってるんじやないよ」と。確かにもらえるだけマシ、という考え方もある。世の中には失業してしまったり、会社が倒産してしまって、食うや食わずの人たちがたくさんいる。社内失業者は、決してその日の食事や住むところに困っているわけではないからだ。しかし、社内失業者の不安は、今給与が低いことではない。今後上がる見込みがないまま年齢だけを重ねてしまう。その未来の暗さにあるのだ。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構がまとめた「今後の企業経営と賃金のあり方に関する調査」によると、5年前と比べて本人の年齢・勤続年数・学歴など個人の属性を重要視する「個人属性重視型」賃金タイプの企業が大幅に減り、本人の職務遂行能力を重視する「職能重視型」や、従事する職務・仕事の内容を重視する「職務重視型」などが増えているという。今は正社員として所属してさえいれば満足のいく給料をもらえるほど甘い世の中ではない。さらに、若い頃に経験を積めないことが、30代、40代以降の賃金にどう影響していくかについて、同調査は以下のように分析している。
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