2012年8月1日水曜日

ビアードの分類

どのような人間たちが民主党の支持者となるのであろうか。彼らは共和党の支持者とは、何か違った特徴とでもいえるものをもっているのであろうか。アメリカの政党の支持層の違いについて、著名な歴史学者のチャールズ・ビアードは次のようにのべたことがあった。

アメリカのなかの富める者が引きつけられる重心点は、共和党にある。反対に貧しい者が引きつけられる垂心点は、民主党にある。

このビアードの観察は正しいのだが、いくつかの脚注を必要とする。アメリカで富める者といえば、銀行口座の残高の大きさで表現されるような、単にお金持ちであるという状態ではない。むしろ社会的な要因がつきまとっており、ほぼ次のような背景が自動的に連想されるのである。

高等教育を受けている。白人である。社会的に高いとみなされている職業についている。肉体労働者ではない。都市の中心の高級住宅街か。郊外に住んでいる。宗教はプロテスタント(キリスト教のうちの新教)である。

貧しい者というのはこの反対側にある人物で、たいていは高等教育を受けておらず、非白人が中心になっている。白人であったとしても、肉体労働に従事している者が多く、社会的にあまり高いとはみなされない職業についている。

住居は環境の悪い都心部にあることもあるし、郊外の一角にあることもあるが、いずれにせよ狭いところに住んでいる。同じキリスト教でも、カトリック教徒は大体がこの分類に入る。

もちろんこのような分類は大ざっぱなものであって、実際にはさまざまな例外や特殊事情がからまっているが、それにしてもアメリカの政党の支持層に、ある種の社会階層の差とでもいったものがつきまとっているというのは、避け難い事実である。このような状況は、ミシガン大学がおこなった一九四八年から六〇年にかけての調査でも明らかとなっている。