2015年5月14日木曜日

石油高騰は不可避である

第一は、米国の石油自国生産・輸入および代替エネルギー生産の分水量はバレルニ○ドル見当であること。つまり暴騰せぬ限り、米国景況にはプラス面は多いが、輸入インフレなり景気頭打ちの要素ともなりうること。さらに米国はアラスカ原油を温存していること。ソ連の粗放的原油生産には米国の巨大コンピュータを駆使した探鉱・採油技術を必要としていること。

中東地域の生産・流通の鍵を握るペルシア湾のホルムズ海峡(北側イラン、南側はオマン領。出湾・人湾はすべてオマッ領海内を通り、海峡幅は五〇キロであるが、各二海里の幅で入出各航路および分離帯が設置され、タンカーはその110キロの帯を航海する。世界最大の戦略的石油ルート。

分離帯上には常時、ソ連太平洋艦隊所属のグリヴァタⅡ級ミサイル駆逐艦が漂泊している)は常に全世界の注視を浴びている。近年、湾岸諸国の陸送パイプライン設置、消費国側の備蓄の強化、省エネ体制強化、代替エネルギー開発の即応力拡充、湾岸以外のOPEC・非OPEC諸国の増産余力などで、たとえ一時的に同海峡が封鎖されてもいちおうの耐久力はできている。

しかしそれも長期化すれば石油高騰は不可避であるし、逆オイル・ショック後雌伏していたOPECの石油戦略再現を誘発する恐れがある。石油専門家は九〇年代後半には再び石油危機の突発をほぼ一致して予期している。また陸上よりも海底油田開発に今後の期待が集中し、水深二〇〇メートルまでなら一兆五、〇〇〇億バレル、沿岸より四〇マイル以内なら一兆三、五〇〇億バレルの埋蔵量推計がなされている。以上のことなどは基本的事実として知っておいてよいことであろう。