2012年6月7日木曜日

ニセ菅ツイッター、少なくとも5人確認。

ツイッター上に現れた菅直人首相の偽者。現在は消えている 。140文字以内の「つぶやき」をネットで世界中に発信できる簡易投稿サイト「ツイッター」。

自分の考えを気軽に知らせることができる便利なツールだが、一方で常につきまとうのが真(しん)贋(がん)問題。ネット選挙解禁を目指す改正公職選挙法の議論でもこの点が課題になっている。

「これを機に始めることにしました」

ツイッター上に「kann_naoto」を名乗る人物のつぶやきが出現したのは民主党代表選があった今月4日頃。菅首相の顔写真も張り付けられていた。

「あの菅さんか」と勘違いしたフォロワー(閲覧者)はすぐさま約1万人に。だが、菅首相はツイッターで発信したことがない。

不審に思った民主党の藤末健三参院議員が4日夜、菅氏の秘書に電話し、なりすましが発覚。偽者は少なくとも5人確認された。藤末議員はツイッター上で「(菅さんは)まだ始めておられません」と投稿した。

そこで、民主党も、ツイッター上で、「ぜーんぶ偽者!!」と発信。さらに5日午後には報道各社に発表し、偽者たちは姿を消していった。同党広報委員会は「自由がネットの良さとはいえ……。悪意ある中傷や攻撃の場合は法的処置も考えなければ」とする。

ネット調査会社「ネットレイティングス」(東京)によると、国内のツイッター利用者は750万人(3月現在、パソコンのみ)を突破。メールアドレスさえあれば誰でも気軽に参加できるが、同時に、他人になりすますことも簡単だ。昨年12月には鳩山前首相の偽者が登場したほか、今年に入っては、東京大や早稲田大からの正式な投稿を装うケースも出た。

こうしたトラブルを防ぐため、米・ツイッター社は、有名人については認証制度を設けている。本名とメールアドレス、公式サイト、登録名などをサイト上から送信し、認められると、画面の右側に丸い緑のマークが表示される。

日本国内では、8日現在で国会議員19人を含めた52人・団体がお墨付きを受けた。しかし現在、与野党で90人近い国会議員がツイッターを使っているとみられ、認証はまだ5分の1程度だ。

今夏の参院選からネット選挙を解禁しようと、5月末、公選法改正案について与野党が合意した。だが、ツイッターについては、候補者が使うことを禁止はしないが、使わないよう自粛を呼びかけるという中途半端な取り扱いになっている。「なりすましによるウソ情報を防げない」という心配がその理由だった。

ツイッターに詳しいジャーナリストの津田大介さんは「ツイッターは、フォローするとメッセージが自動的に送られてきて、それが自由に引用され、広く波及していくメディア。それだけに、認証などで悪意あるなりすましを防ぐ仕組みが必要だが、一方で見る側もうのみにしないで冷静に判断する力が求められる」と指摘している。