2014年7月7日月曜日

社会保険料と目的税

使途が限定されているという点では、社会保険料と目的税は共通です。社会保険料は医療や年金だけに使われます。現行の目的税は、道路特定財源となっている揮発油税、自動車重量税、石油税などです。

目的税は、目的遂行に適切な税ですが、財政学の面からは、目的税は財政の硬直化を招く。と批判されています。たとえば、歳入がすべて目的税の収入で構成されている予算を考えるとわかりやすいでしょう。五つの目的税があるとすれば、収入のすべてが目的税ですから、歳出も五つの目的以外には使えません。

これほど極端ではないにしろ、歳入に占める目的税の割合が高まれば高まるほど、財政の硬直化は進むのです。なにしろ他の目的には使えないのですから。社会のニーズは時代によって変化します。昔、必要とされたものが不必要になり、新たなニーズが登場します。変化に的確に対応するには、目的税はできるかぎり限定し、安易な導入は避けるべきでしょう。

社会保障、とくに年金や医療の財源として目的税をあてることはどう考えればよいのでしょうか。現在、提案されているのは、基礎年金や高齢者医療の財源として、消費税を目的税とする方法です。基本的な考えは、高齢化の負担を現役世代だけでなく、高齢者にも応分の負担をしてもらおう、というものです。主に勤労者世代が負担している所得税や社会保険料から、財源を消費税にシフトし、勤労者世代の負担を軽減しようとするねらいです。

社会保障の財源として、全額を税でまかなうと。社会保険は社会保険ではなくなります。私は社会保険方式を維持しながら、財政的関与を増大させる方法がよいのではないかと考えています。保険方式を維持するならば、国庫負担の財源全体に占める割合は二分の一以下であることが適切でしょう。現在でも多くの国庫負担が社会保険に投入されています。