2012年4月10日火曜日

大手航空の株主優待券、「相場」は低空飛行

東京都内の金券ショップで、6月から利用できる大手航空会社の新しい株主優待券が並び始めた。民営化20周年で発行した日本航空(JAL)の優待券価格が、全日本空輸(ANA)に比べ安値で販売されている。

株主優待券は年に2回発行され、流通市場に出回る。国内線の全路線で片道の普通運賃が5割引きとなる。販売価格はJALが1枚6500―8000円、ANAが9000―9500円程度。ANAは昨年同時期とほぼ同値なのに対し、JALは1000円程度安く販売する店舗が見られる。

買い取り価格はJALで5500―6000円程度。新しい優待券が発売された当初は、買い取り価格より2000―3000円程度上乗せして、利益を稼ごうとする金券店が通常は多い。しかし、6500円で販売する店の利益はざっと500―1000円程度。「今年は記念優待券の発行でJALの供給量が増えたことから、1枚当たりの利益は少なくしても、販売数量で稼ごうという動きが出た」(金券店)。

販売価格を見ると、ANAがJALに比べ1000―3000円高く、「この価格水準ではほとんど売れない」(金券店)。荷余り感が強まり、JALの価格にさや寄せする形で今後値下がりするとみられている。
優待券の価格は、旅行や帰省需要が高まる7月後半から例年、値上がりする。ただ、店頭の中心価格をみると、現時点ではJALで8000円、ANAで9000円程度。金券店では「おおかたの店は、安売りすることで、儲けが減ることを恐れている」という。6500円などの安値が一部店舗のとどまれば、優待券販売量が伸びず、夏の需要期ごろになって価格競争が活発になる可能性もある。

金券ショップはハイウェイカードや紙の高速券がなくなるなど取り扱い品目が減っており、市場規模も縮小しつつある。航空会社の株主優待券は、残された数少ない利益商材のひとつ。JALの発行拡大による供給過剰が重しになっているが、価格の付け方次第で各社の利益を大きく左右するだけに、他店の動向をうかがいながら慎重に値付けをする傾向が強まっている。